私の新人時代~大阪編2nd~(20)

牡丹。と、いうラーメン屋さんが、萌えしゃんどんの常連さんのお気に入りのたまり場だった。

今ではすっかり「うらなんば」と、いう地名で浸透し、にぎやかな通りになっているが、当時はさえない路地裏で、ラーメン屋と居酒屋の間のような牡丹にあまり良い期待を持ったりはしていなかった。

狭い店内に集まったのは、おそらく6人から8人か?てんちょ~とローズに加えて、じろーさん、かずさん、よっきさん、ぷーちんさん。

ゆたかさんと、まるちゃんさんと、せりさんがいたのかは記憶がさだかではない。さみさんもいた・・・のだろうか?

とにかくその時に記憶に残っているのは、ぷーちんさんだ。居酒屋形式であるとはいえ、ラーメン屋さんにも関わらず、山芋の鉄板焼き?と、ポイントカードの特典?のチャーハンを注文していた姿を見て、かなり変わった人だな。と、思った記憶がある。

何が嬉しいのかわからないが、とにかくその日はポイントカードが溜まったことが嬉しかったらしい。どうやらメイド喫茶に通うのと同じくらい、牡丹に通うことが好きなようだ。。

もうひとつ覚えているのは、じろーさんだ。じろーさんは、ひとりで萌えしゃんどんにおかえりしたときに、一目ぼれをしたお客様で、明らかに店内でオーラを放っていたのを覚えている。

その日は、気分を変えたかったのか、いつも常連が座るカウンター寄りの椅子ではなく、逆に一番後ろの席に座っていたのだが、あまりの立ち振る舞いの真摯さから、きっと名のあるご主人様に違いない。と、感じた。

どこからどう見てもメイドさんからも好意を持たれていて、ベストご主人様大賞という賞が存在したのなら、すでに5年連続で受賞をしていて殿堂入りをしているご主人様であろう。いつか話せる機会をうかがっていたのだ。

残念ながらその時はあまり話すことができなかったし、その後もほとんど話す機会はなかったのだが、ブログを通じて何度か交流が続いたのは、萌えしゃんどんに通って最も嬉しかったことのひとつと言っていいほどの素晴らしい出会いだったと思う。

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さて、ではそんな素敵なじろーさんを含めて、メイド喫茶に通うお客さんのご帰宅後の行動は何をしているかというと、基本的に、たいしたことはしていない。

初めての人が来れば、「誰推しなんですか?」と、いう質問から始まり、各個人がだれだれが好きだ。だれだれが素晴らしい。と、俺の嫁自慢を始め、卒業のシーズンや誕生日のシーズンに合わせて、何かサプライズでもしようか?などと打ち合わせをする。たわいもない空間だ。

ただ、唯一面白いな。と、思ったのが、それぞれの推しがなぜか勝手に分かれていることだ。

じろさん→ねむちゃん、かずさん→みさちゃん、ぷさん→ライムさん、よっきさん→なずなちゃん、と、推しかぶりがほとんど発生していないのだ。

これは、仲の良い常連さんが空気を読んで自然とわかれたのかもしれないし、すでにどのお客さんがどの女の子を推しているかを察知して女の子が対応をしたのかもしれない。

最近話題になった「忖度」という言葉があるが、日本人は、空気を読むという力にたけているな。と、つくづく思う。

いや、逆に言えば、空気を読む力のあるご主人様がそろったので、萌えしゃんどんは、とても居心地の良いお屋敷になったのかもしれない。

今までほとんど誰ともこの界隈で会話をすることのなかったローズに、何人かの長い付き合いとなる友人ができた一夜であった。