私の履歴書4(35)

なんだかんだ問題ありだった幼稚園時代。義務教育ではないので、特に卒業とかは無いのだが、ローズも無事に小学校に入学ができた。幼稚園時代には豊富にある記憶だが、実は人生で一番記憶にないのは、小学1年生のころかもしれない。この時期が、ローズが最もまともに集団生活になじんでいた時期ではないかと、今振り返るとしみじみ思う。

おそらく、親の教育が良かったのだろう。もう、小学生になるんだから。みたいな感じで、親が上手くしつけたのだ。小学1年生になるとともに、自分の部屋を与えてもらい、子供ながらに、ずいぶん大人になった気分をかすかながらに覚えている。両親も小さいころからしっかりとしつけるんだな。と、中学生くらいのころには振り返っていたが、翌年に弟が生まれたことを鑑みれば、大人ってなかなか計画的だな。と、今となっては思う。

ローズの父は、見た目は私にそっくりだが、中身はいたって真面目中の真面目人間だ。父方の祖父が国鉄に勤務しており、父もその背中を見てなのか?国鉄に入社したようだ。しかし、その後の民営化に伴い、土浦市の市役所に転職をしたらしい。本人は大学では主席だったと自慢げに言っており、その真偽のほどは不明だが、一級建築士の資格を持っているところを見ると、勉強ができないわけではなさそうだ。子育てには、昭和の男らしくほとんど無関心で、自分の趣味に時間を費やすことが多い。理系なので典型的コミュ障で、晩年に近づくほど無口で無愛想になり、家族で食卓で食事をせずに、食事を部屋に持ち帰ってひとりで食べるという、下宿生のような暮らしぶりは、なかなか尊敬できる点はある。マネはしたくないが。

ローズの母は、典型的なB型である。時間や約束にルーズでマイペース。感情の起伏が激しく、ストレスが溜まると、ヒステリックに怒鳴り散らす。反面、機嫌が良いときは、愛想がよく、コミュニケーション能力が高い。メイドやアイドルにしたら、たぶん人気が出たタイプだろう。息子が言うのも変だが、顔もそこそこ良い。母方の父も国鉄に勤務しており、まぁまぁの(地方の)お嬢様だったか?母親も、ソニーに勤めていたという嘘くさいことを言っているが、女性の進学率が低かった時代に(一応)短大に行っているので、本当だったかもしれない。

性格の本質は、怠惰で怠け者だと思われるが当時の女性は若くして結婚するので、子育てに向けるエネルギーがすさまじかったようだ。特にやんちゃであったローズに負けないように、悪いことをすると猛烈に怒っていた。食べ物にも相当気を使い、他人の家に遊びに行ったときに、あれ?お菓子ってこんなにおいしいの?と、思った記憶があるくらい、甘いものなどは食べた記憶が無い。、

翌年に弟が生まれた時は、すでに年齢的に疲れていたからなのか、弟が普通に良い子なので怒らなくて済んだだけなのかは不明だが、私との子育てのスタンスが違い過ぎて、当時は結構不満に思っていた。

そんな形であまり記憶が無い小学1年生の時代だが、ひとつだけ確かな記憶がある。題して「サンタクロースなんていない事件」だ。

サンタを何歳まで信じるか?と、いうのはその家庭によるのだが、きちんと子育てしたかった?ローズ家では、小学1年生になってもサンタがプレゼントを持ってきていてくれた。朝になると、枕元にあるプレゼントをローズは発見したのだが、ローズはあろうことか、そのプレゼントを誰も見つからないところに隠した。当然母親は、「サンタさんはプレゼント持ってきた?」と、ニコニコして聞くのだが、私は、「ううん。サンタさん来なかったよ。」と、平然と嘘をついた。

最悪である。もしも自分の息子にこんなことをされたら立ち直れない。父親も母親もそんなはずは・・・という感じで焦ってプレゼントを探すのだが見つからない。そんなことをよそ目にローズは平然と普段のおもちゃで遊んでいた。

当時の気持ちを振り返ってみると、なぜこんなことをしたかはわからないが、おそらくもらったプレゼントが気に入らなかったのだろう。しかし、気に入らないプレゼントでももらってしまえば「サンタ=成立=また来年」になるので、「なかったこと」にしたかったのか?

厳しい目線で言えば、しっかりと我が子の欲しいものをリサーチしなかった親の戦略ミスともいえるのだが、とにかくローズ家にはそれからしばらくサンタさんは訪れなくなった。

ちなみに大きくなってからもローズは、気に入らないことがあると「行動」で相手の行動を要求することが結構多かった。口で言えないから。では、なくて、口で言った上に行動でも重ねてアピールするとは、自分のことだが、究極の自己中だと感嘆する。この子にして、この父と母あり。両親の性格を受け継いだローズは小学2年生へと進級する。