私の新人時代(12)

忙しくなって、残業代が増えると、ローズは、お金遣いが荒くなった。荒くなった。と、いうか、自分が稼いだお金を早く捨てたかった。

この感覚をなんといえばいいのだろうか?自分がしている仕事に比べて、得ている報酬に自信が無いというのだろうか?

残業が増える前から、盛んにコンビニの募金などにお金を突っ込んでいた記憶がある。小銭を持たない主義。なんてわけじゃないんだけど、500円より下の金額のおつりはすべて募金箱に突っ込んでいた。

別にお金を使う必要もない。使わないのであれば、将来のために、貯金をするなり、投資をすればいいと思うのだが、どうにもこの時期は、貯金をしようと、いう気持ちがわかなかった。

もう一つ、公務員の時期によく覚えていた癖?が、盛んに飲み物として、ミネラルウォーターを飲みまくっていたことを覚えている。今までそんな飲み物飲んだことなかったのに、あれは何だったのだろうか?体の中の何かを浄化したい。と、いう欲求だったのだろうか?

盛んに募金をしていた習慣は、メイドリフレを知るようになってから、そちらに注ぐようになった。

私が好きになったSちゃんは、いつも笑顔で本当に素敵だった。リフレは、カフェに比べて、仕事としては非常にしんどい。真面目にやろうとすれば、肉体的負荷はかなり高いし、オタクと1:1のスペースに長時間いるというのも、精神的にきついはずだ。

アニーは、他店に比べて低料金なので、回転率が高かった。そのため、人気のある子は、土日は朝から晩まで働きとおしで、こちらが見ていても、大丈夫?と、声をかけたくなるほど疲労していた。

にもかかわらず、Sちゃんは、いつも元気で笑顔だった。そして何より楽しそうだった。自分の力で誰かを元気にできることを実感できることが、本当に嬉しいのだろう。

それに比べて、自分の仕事はなんなのだろうか?自らの意思はそこには不在で、言われたことをとりあえずやってみる。頑張ってる人は頑張っているけど、頑張っていない人は、本当に何もしない格差だらけの社会。

大きな目線で見れば、きっと私の仕事も、どこかで誰かの役に立っているのだろうけど、私の仕事で、誰がどれだけ喜んでいるかは、私の目には一切届かない。

「人の為に仕事がしたい」と、いう動機で就職をしたが、私は本当に人の役に立っているのだろうか?むしろ、私がしていることは、国民全体としてはマイナスなのではないだろうか?

前々からうっすらと抱えていた疑問も、ローズは、メイドリフレを知ることによって、なんだか自分のやりたいことがはっきりとイメージできた気がした。

そうしてローズは、より具体的な行動・・・つまり転職をしてみようと考え始めた2年目の春でだった。