私の新人時代(15)

有給消化期間は、約一か月もあったが、ローズはどこに旅行に行くわけでもなく、自転車で千葉からアキバまで行くという、弱虫ペダルのようなアホなことをしていた。

時間はあるけど、お金はない。お金はあるけど、時間が無い。と、いう矛盾を唯一覆せる有意義な期間であったが、視野の狭いローズにとって、秋葉原はまだまだ世界の中心だった。その頃、世界はどんどん広がり続けていたのに…。

前回話をした指名制度の話だが、実はお気に入りの子に入るためには、指名する以外に方法がある。

それは、シフトを把握してからこっそり外からお店を覗いて、誰が待機をしているのかを確認するのだ。

お気に入りの子がいれば、フリーで入ってもその子になる可能性が高いし、その子がいなければフリーで入っても当たらない可能性が高い。

これは、シフトが公開されていなかった時代のコンカフェでも有効なテクニックだった。(ちなみに嫌われるやつ)

まぁ、カフェと違って、リフレはすでに予約済のお客さんがいるかもしれないので、待機しているかどうかでフリーに当たるかはまったくわからないのだが…。

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最初はフリーで入ることが多かったローズだが、その後は基本すべて指名で入るようにした。

推しと確実に入りたいという理由もあったし、推しが周りにばれないようにごまかしていた。と、いうのもあるが、単純にそうしたほうが良い。と、いうことを直感した。

10分しか施術しない場合でも指名を入れていたので、ローズはお店の中でかなりモテた。(もしくは、モテた。と、感じた)

普通に考えれば、指名ができるお店で推しを複数作るメリットはない。なぜなら、シフトは公開されているので、自分と、推しのシフトでかぶるときに予約を入れればよいからだ。(そういう意味では非常に合理的なシステム)

ローズは、当時は、Sちゃんが好きではあったが、別に他の女の子に興味が無い。と、いうわけでもなかった。やはり、どの女の子も長く続けていれば、それぞれ得意な話題を持っているし、その女の子を攻略するにはどうしたらいいか。なんて考えるのが楽しかった。

最近はすっかりさびれてしまった?が、昔の恋愛ゲームの、複数同時攻略的な気分である。

正統派のめちゃくちゃ可愛い中川翔子似と言われていた予約がいっぱいすぎてだいぶ先じゃ入れないRさんとか、見た目すげぇ可愛いし、たぶん20歳前後だけど、リフレやる気なさすぎて、押すというかなでてるレベルのSさん。

今思い返せば、秋葉原メイドさんは、奥が深い。当時のローズからは、20代後半でやけに落ち着いた人だなー。と、思っていたけど、様々な経験をした今思い返すと、たぶんあの人は、30代後半だったり、子供がいる人妻だったのかな。なんて、思う。

そして、ポンバシよりも先行してアキバの状況に、今のポンバシは近づきつつあるのかな?とも、感じたりもする。(別にダメじゃなくて、むしろ良いと思っている)

推しが一人であれば、その子がいないときに、おかえりするときはないのだが、箱推しになると、それはもう、二度と引き返せない沼である。

ローズ、リフレでの箱推し伝説の開幕であった・・・。