私の新人時代(19)

新しい朝が来た。希望の朝だ。

入り口の重々しいシャッターを開けると、そこには秋葉原昭和通り口の駅前にある、のどかな公園の風景が広がっていた。

昨日の夜は散々だった。お客さんの愚痴だけならまだしも、女の子に関する愚痴は、これからお店に通うお客としてはマイナスイメージでしかない。

特に、彼氏に関する話は、いるんだろうな。と、思っていてもなかなか重い。

全員に関して聞いたわけではないが、およそ4割くらいは確認ができただろうか。もしかしたら聞いてなかったり、本人が隠してるだけであって、おおよそ6割前後は彼氏がいるのかもしれない。

ただ、逆に希望?の湧く話もいくつか聞くことができた。本人の自己主張なので、真相は本人のみぞ知るではあるが、中には本当に彼氏がいない人もいるみたいだ。お店の中でネタとしてよく話しているらしい。

さらに踏み込んだ話をすれば、今まで一度も付き合ったことが無い子(年齢=彼氏いない歴)も何人かいるようだ。個人的には興味が無いが、いわゆるそういう女性を好きな人にとっては、なかなか有益な情報だろう。

個人的に一番びっくりしたのは、今までのご主人様の中で、実際にメイドさんと付き合ったり、結婚までした人がいるという話が印象的だった。(結婚はこのお店なのか、他のお店か忘れたが)

確かに、爺やさんの面白いところは、嘘をついたりだましたりして?顧客とお店の関係を継続させようというよりは、お互い好きになったならそりゃしょうがない。だったらその事実(気持ち)を強引にもみ消すよりも、よりプラスになるように調整しよう。みたいなニュアンスの人だった。

カフェでは、メイドさんとの個人的な関係が禁止されているが、私は個人的には、カフェでも構わないと思うし、リフレであれば、お客さんのため。と、いうよりも、女の子のためにOKにしてあげたほうが幸せだと思うのだ。

前回の際に記載をしたが、リフレのお客さんは、社会的に身分が高かったり、裕福な人が多い。(もちろん人によるが)多少年齢が高めなところはあるが、中身が子供なケースが多いメイドさんにとって、彼らの包容力は、精神的にも経済的にも強いと思うのだ。

明確な目標があってメイドをやっている子なら別ではあるが、正直なかなか職につけない。生きるために働いている。と、いうケースであれば、私はご主人様と結婚することこそが最高の報酬であり、ゴールだと思っている。

お屋敷。と、いう舞台では最高に輝いている彼女たちも、ひとたび街中の群衆に紛れてしまえば、普通より可愛いか、厳しい目線で言えば、普通以下の単なるオタクになってしまう可能性もあるからだ。

そんなことをぼんやりと考えていると、爺やさんからこれから朝風呂に行きませんか?と、誘われた。

メイドリフレの人と一夜をともにしただけでなく、裸の付き合いを一度にするのは、さすがに経験が濃すぎる。と、思い、ローズは低調に断りながら、家路についた。

電車から差し込む朝日が非常にまぶしい。

様々なトラウマを生み出しながらも、なんだか大人になったな。と、感じるローズであった。