私の新人時代~大阪編~(4)

いつやるか?

いまでしょ!!

一昔前に一世を風靡した言葉だが、入学説明会で何をしているのかと、言えば、端的に言えば、今でしょ。のような言葉で、訪れた人の気持ちを固めてあげるのが、一番のお仕事だ。

もちろん感情面での揺さぶりだけではなく、きちんとした学費、システム、入学手続きの説明まですべて60分で完了させなくていけない。

一組だけなら多少時間をオーバーすることも可能だが、繁忙期には一日で6~8組の説明会を担当することもあるので、一組5分の遅れでも3組後には、15分の遅れになってしまうので、時間のコントロールは必須の技術となる。

場合によっては遅刻してくるお客さんもいるし、予約なしで飛び込みでくるお客さんがいるので、短い場合は30分前後まで短縮する技術が必要になる。

---------

はじめは肉体労働でもないから、6連勤くらいなんてことないだろう。と、思っていたが、いざ説明会に入ってみるとめちゃくちゃしんどい。

まず、何がしんどいうかというと、物理的に休憩が取れないことがしんどい。60分1回の説明会だけならなんてことはないが、3個~4個と連続で入るともはや呼吸困難になる。

ずーーーーーっとしゃべりっぱなしなので、脳に酸素が行き届かなくて、説明会の途中で一瞬自分が何をしゃべっていたのか記憶が無くなる瞬間がある。

あとは、立て続けに説明会をしているのでトイレに行く時間もなく、ご飯を食べる時間もなく、頭の中では、「トイレに行きたいな」「おなかすいたな」「眠いな」の、最も根本的な人間の欲求しか思い浮かばなくなる。

これが一日だけなら、今日は忙しかったな。で、終わるが、これが毎日の日常だと正直つらいというのが本音だった。

-------------

「ストレスが溜まった時に、どうやって発散しますか?」

と、いうのは、中途採用面接での定番の質問だが、この当時の、、、というか当時ではなくてもローズのストレス発散法は、食べることだった。

本当は色々なメイド喫茶なんかを回りたがったが、仕事が終わるのがおおよそ21:30前後だったので、当時はどこのコンカフェも22:00には終わっており、唯一空いていたe-maidに毎日通って、エビフライ・ハンバー区・クリームコロッケ・ベーコンステーキのMixCセットを食べていた記憶がある。

当時は大盛でも1000円くらいで、やよい軒レベルの普通の定食屋に行くよりは、全然量も味も上なのでかなり満足できていた記憶がある。

ここで、少しだけでもメイドさんと話せればその後もe-maidに通っていたかもしれないが、ほぼ一か月毎日通っても、話してもらえないし、名前も覚えてもらえないところが少しだけ残念だった。

メイド喫茶が、カフェなのか、お話しできる場所なのかは、店によって魅せ方が違うのだろうが、どんなサービス業でも毎日通うお客さんをキャッチできないのは、致命傷だったかもしれない。

ほんのちょっとの出会いとすれ違いで、人生は大きく変わっていく。

ローズは、単身大阪に乗り込んでいたが、いまだ自分の居場所を見つけられないままだった。