私の新人時代~大阪編~(19)

お昼ご飯は、当たり前だが会社の近くで食べていた。なんばウォークに行けばいくらでも食べる場所はあったし、少し時間をかければ、法善寺横丁だろうが、心斎橋だろうが、どこでも好きな場所に行けた。

最初はうきうき気分で、北極星のオムライスなど、有名な場所を食べ歩いていたが、繁華街にはあんまり美味しい場所は少なかったし、あったらそこは混雑しているし、何より1食で1000円くらい費用が掛かってしまうのを直したかったのだが、結局ずるずると外食を続けていた。

あんちゃんが店長になり始めたくらいから、お昼はポコで食べるようになった。会社からポコまで往復で20分かかってしまうので、時間的にはかなりロスだが、当時のポコは、安いときで600円。高くても750円くらいでランチを食べられたので、お財布に優しかった。(美味しいと2食たべるのだけど)

今は、ナスカ系列だと、チャージ500円+1000円のランチなので、最低価格で1500円になる。約2倍以上のインフレだ。

今思えば、700円のランチを売って、いったいいくら儲かるのか?と、いう点に考えが及ばず、甘えていたが、本当にいい時代だったな。と、思う。

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訪れる時間も、基本的に11時に訪れるようにしていた。ひとつは、私の都合でお昼休みは生徒とできる限り接したいので、12時には戻りたかったという理由。

もうひとつは、単純に競合するお客さんが少なかったので開店アタックを心がけた。

冷静に考えずとも、アキバと違って働ける場所が少ないポンバシにおいて、11時からお店をオープンするメリットは見当たらない。

11時におかえりしたときに、お客さんがいるときはほとんどなく、お客はローズひとりの時も多かった。女の子を独占できる状態でランチを食べて700円だったのだから、これ以上の好待遇のお店はないだろう。

ただ、あえてひとつだけ難点を言えば、一番最初に日替わりを食べるので、時に味がいまいち決まってないときがあることだ。

味が薄すぎたり、辛すぎたり、微妙だったり。私の感想を聞いてから、最終的な味のバランスを調整していたので、ある意味損をしている部分はある。しかし、逆を言えば他の人には誰にもできないお店の手伝いをしている面もあり、特別感を感じることはもちろんあった。

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ローズは、ポコに年間1000回はおかえりしていた。と、豪語することが多いが、どのように算出をしているかというと、お昼に1回+夜(帰宅前)に1回+夜(帰宅後)に1回という数え方だった。

家に帰る前にポコでご飯を食べて、一度家に帰って着替えてから、再度ポコにおかえりする。と、いうどちらが家かよくわからない状況だった。

これも、時間制やチャージなんて制度が無かったからこそなしえたことだろう。

このオタクは頭がおかしいな。と、思うかもしれないが、この時にあんちゃんとローズは結婚していたかというと、結婚をしていたと思う。

先日のアイドルの結婚宣言を再度引き合いに出すが、あんちゃんとは、一緒に住んでいなかっただけで、ほぼ毎日顔を合わせて彼女の手料理を楽しみ、何気ない日常の出来事を話し合うという関係は、もはや夫婦そのものだろう。

単純に睡眠を取る場所が違うだけであり、プライベートな時間はお互い干渉をしない形の夫婦であっただけかもしれない。

最近は離婚率の高さが話題になっているが、昔からあるような「理想の結婚の形」は、きっと今の現代の人々には合わないのだろう。時代だけじゃない。個性や相性によっても、それぞれの「結婚」の形を見つけていくことが、幸せへの近道かもしれない。

こうした時代のニーズが、地下アイドルを作り、コンカフェを生み出した要因だろう。

私はいまでもこの時が、一番幸せだったのではないかな?と、思っている。

こうした一風変わった結婚生活を毎日書き綴っていると、やがてひとりの男性と出会うことになった。

そう。皆さまお待ちかねの日本橋のレジェンド。てんちょ~の登場である。