私の新人時代~大阪編~(20)

ある日、ブログを見ると、見慣れない名前の男性からコメントがついていた。

2年間にもわたってブログを書いてきたが、お店の女の子以外からのコメントは初めてだ。

その男性の名前はてんちょ~。ポコではほとんど誰とも絡まないローズにとって、その名前に見覚えはなく、こんな超ニッチなブログを掘り当てるなんて、モノ好きな人もいるものだなぁ。と、思っていた。

ブログにコメントがあった旨を女の子に伝えると、確か、あんちゃんだったか、最近来るようになったお客さんですよ。と、教えてくれた。

後に、ほぼ毎日おかえりすることになるてんちょ~だが、当時は奈良に住んでいたため、ポコにおかえりするときは、自分が休日の昼間など、ごく限られた時間のみだったようだ。

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その後何度かお店におかえりをするうちに、実物のてんちょ~に出会うことができた。

実物のてんちょ~は、一目見てすぐにわかった。ポコのお客さんでは珍しい、パリっとした身のこなしで、さわやかな笑顔で女の子にニコニコ接している。

すでにブログで何度かコメントのやり取りをしており、たしかその日に会う約束をしたのか忘れたが、なぜかてんちょ~は、ローズにアンリ・シャルパンティエという有名なお店のケーキを買ってきてくれていた。

つまり、てんちょ~はイケメンだった。それは見た目ももちろんそうだが、中身が周りに対するやさしさであふれている。良い意味で、彼はフェミニストであり、悪い意味で言えば、遊び人だった。

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彼がポコに通っていた理由は、あんちゃんだった。のちにしょこらさんのTOとしてその名を轟かせるてんちょ~だが、彼の中では、今も、昔も、あんちゃんが一番好きらしい。オタク生活をすっかり引退したと思われる彼だが、今でも時折アンダンテに訪れているというのだから、その気持ちは本当なのだろう。あんちゃんと結婚できるなら、今の奥さんとは即離婚するそうだ。

「俺は昔は、ラウンジなんかで結構遊んでいた。」と、いう発言のとおり、彼のお店の通い方は見事だった。

まず、女の子への気配りを欠かさない。それは、本命であるあんちゃんはもちろん、彼女と一緒に働く女の子へも、しょっちゅう乾杯ドリンクをあげていた。

ちなみに、そもそも当時のコンカフェのほとんどに、女の子にドリンクをあげる制度など存在しない。ご主人様のためにお給仕をするはずのメイドが、ドリンクをもらったり、フードを目の前で食べるなどもってのほかなのだから当然だ。

当時の私は、遊び慣れていない真面目青年だったので、この人はなんなのだろう?と、思っていたが、今思い返せば、彼の戦略は完ぺきだった。

本命のあんちゃんだけではなく、周りの女の子の評判をちゃくちゃくと固め、さらには、お店に通う男性客にも、持ち前の営業力で仲良くなっていく。

彼が本気で?通い始めたころに、彼を嫌いな人は、すくなくともそのお店には存在していなかったと思う。

そしてさらにすごいのが、本命には本命で、別途リフレなどに時間を使い、そこでしっかりとコミュニケーションを取っていたのだ。まともに話せるお客さんが少ない中で、店舗経営者の話は、初めて店長という仕事をするあんちゃんにとって、かなり頼れる存在だったのではないだろうか?

当時のポコの売り上げがいくらかは不明だが、めるるさんの引退と同時期に、中野さんへお店の権利を譲渡したことを考えると、売り上げは、月に100~120万前後だったと推測している。(日商4万前後)

当時のてんちょ~は、どう少なく見積もっても、月に10万円以上は使っていたので、売り上げの10%以上を占める大顧客だった。そうして、経済的にも、人間的にも十分自分をアピールしたうえで、お店に通ってから約3か月程度経ったところで、彼はあんちゃんに告白をすることになる。

こういうものは、だらだらと時間をかけても仕方ないし、会って間もないうちに告白をしても嘘くさいし、もはやこれ以上ない。と、いう絶妙のタイミングでのアクションで、当時の私はこのすごさを理解できなかったのだが、今あえて声を大事にして言いたい。

てんちょ~すごい!!!

果たして、ラウンジでの勇者のてんちょ~の告白は、いったいどういう結末を迎えたのだろうか?