私の新人時代~大阪編2nd~(6)

どうしてそんなに仕事が早いのですか?と、聞かれることがある。

ブラック企業長時間労働と残業代未払いが問題になり、労働時間の抑制がかかる風潮になってはいるが、当たり前だが、早く帰れ。と、言われても仕事が終わらなければ帰れない。

一般の人が携わる仕事の多くは、「労働集約型」という業務形態で、「その場」で「人間」が仕事をしなくてはならない仕事だ。それは例えば飲食店のように目の前で料理をしたり、コンカフェのように目の前で会話をしたりする仕事である。

労働集約型のビジネスは、人が働くことによってコストがかかるので、利益率を上げるには、働く人の時間を減らせば、最も簡単に利益率を上げることができる。だからついつい経営層は、現場の人間に多くの仕事を割り振ろうとするのだ。

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仕事を早く終わらせるコツは、「めんどうくさい」と、思うことである。

こんな仕事するの嫌だな。面倒だな。そもそも必要あるのかな?違うやり方無いかな?どんな意味があるのかな?と、常に疑うこと。

そう。「めんどうくさい」こそが人間の進化のカギなのだ。

アルバイトの現場で一番ありがちなのが、「自分の労働時間」をお金に変換できない。と、いうわかりやすい例がある。

例えば事務用品の修正ペンがなくなってしまったからと、会社から往復10分の100円ショップに買い物に行くとする。

すると、確かに修正ペンは100円で購入できるが、時給1000円と考えると、その1/6の160円が費用に上乗せされるので、実質260円になってしまうのだ。それであれば、会社の1階にあるコンビニで200円の修正ペンを買った方がよほど利益を生み出している。

これはわりとわかりやすい例にしたが、日本人は同じようなことをわりと日常生活で繰り返している。例えば10円安いタマゴを買いに行くために、片道20分遠いスーパーまで行くなどの話だ。

それであれば、近くのスーパーで適当に食材を購入し、余った時間で時給1000円の労働でもしたほうがよほど儲かるだろう。

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次にやるべきなのは、必要のない仕事はやめる。どうしてもやらなくてはいけないのであれば、適当にやる。と、いうことだ。

これもありがちなのだが、必要のない無駄な仕事をコツコツ言われた通りやっているので仕事が終わらない。と、いうパターンである。

教育業界では、ひとつ面倒な仕事に、学校前でのチラシ配り。と、いう仕事がある。

チラシを自分で印刷し、中にボールぺンや消しゴムを入れ、それを生徒に配布して認知度を上げることが目的だ。

そして、本部はだいたいどのくらい配布して、反響があったかを知りたいので、配布部数の報告を1部単位で求めてくるのだが、私には、これが面倒すぎる仕事だと思えてならなかった。

もちろん本部的には、詳細な数値を知れたほうが、次回以降の分析に活かせるとは思うのだが、わざわざ配布した数をカウントするのは、わりと面倒である。

まったくでたらめな数も良くないので、10部単位で適当に対応をしていたが、それで特別困ることもなかったので、別にそれでも問題ないのだと思う。

どの仕事でもそうだが、突き詰めていけば、「やりたいこと」は、無限に出てくる。より良いものを、より素晴らしいものを提供するためには、やったほうがいいことは確かにあるのだが、「費用対効果」を考えて、「やらない」ことを選択することが仕事を早く終えるコツなのである。

勉強ができない人でも、仕事ができない人でも、結局「あれもこれも」を求めすぎて、自分のキャパを超えているケースが多い。

上司や経営者は、現場のことなど考えずに、自分たちの都合のいいものだけを押し付けてくるので、それをむやみやたらに聞いていたら自分が壊れてしまうのだ。

本来は、現場での勝手な判断でやってしまっては、全体の統制が壊れてしまうので、きちんと話し合って内容を改善できたらいいのだが、そうでないときは、自分を守るために判断をすることが肝心だと思う。

ちなみに、チラシの部数については、あまりにも適当にやりすぎて、5000部しか配布物をもらってないのに、5200部配布しました。と、報告をして、めちゃくちゃ怒られたこともある。

確かにこれはひどすぎるが、仕事なんて、そんなもんでいいのである。もしも今、仕事が終わらないと、嘆いている人は、適当にやってみても怒られなさそうな仕事を適当にやってみてはどうだろうか?

「こうあるべき」と、いう思い込みは、意外にそうでもなかったな。と、いうことにきっと気づくことだろう。