国民クイズの話



最近通ってる漫画喫茶で気まぐれに読んだ作品だけど、
その内容があまりに秀逸すぎて久々に衝撃を受けた作品でした。

物語の舞台は近未来の日本。
人類にとって最もふさわしいと思われた民主主義は官僚の腐敗により崩壊し、
変わって毎日開催されるクイズ大会に優勝したものの願い(政策)が
何よりも重要視されるという全体主義の国家になっていた。

国民が希望する願いは、
「大好きだったペットを探し出して欲しい」というものから
「妻と離婚して第2の人生をエンジョイしたい。」
エッフェル塔を地元の観光名所に移設して欲しい。」など様々。

主人公のK井K一は、国民ひとりひとりの運命を決める国民クイズの司会役。
「民主主義はもういらない、あなたのための全体主義」の名セリフとともに、
国民全体の欲望をあおり、日本における「国民クイズ体制」の維持のために、
一役買ってきたのだが、ある日「反国民クイズ体制派」のコンタクトを元に、
国民クイズ体制の転覆をもくろみ始める・・・。

と、言ったところが大筋のあらすじでしょうか?


この漫画のすごいところはいくつもあるんですが、
一番驚いたのは構想・連載されていたのが、15年も前のころなんですね。

で、そのころから年金体制の転覆や各省庁政治の崩壊など
ビックリするほど今の日本の状況みたいのを予測してるんですね。

何年経っても色あせることのない作品。
この作品はまごうことなき本物だと思います。


そして最後の終わり方についても衝撃を受けました。
ネタバレになってしまいますが、国民のためを思って
国民クイズ体制の転覆を願った主人公だったんですが、
最終的な国民の反応というのは、己の欲望が単純に叶う可能性が高い
現在のクイズ体制のほうが良いという結論だったのです。

作者が巻末で語っていますが、
基本的にこの作品は、人間の愚かさを描いた作品で、
人間は他人のことなど興味がなく、また長期的視点を持たず
目先の欲望に流されやすいといった人間観の元に描かれています。

もちろん人間すべてがそういった人間ばかりでない。
と言えるかもしれませんが、「全体」としての人間を見たときに、
はっきりとは言い切れないところが胸が痛いところです。
先日行われたサミットを見ててもこの星の未来が心配になりますね。


物語的内容抜きにしてもキャラクター作成から
絵コンテまで非常に優れた作品で、絶対に映画化されてるんだろうなぁ。
と、思いきやまったく映画化されていないんですね。。。

日本の映画界は何をやってんだよ。
正直言って今この作品を映画化すれば超大ヒット間違い無しだよ?
もしも何かの間違いでここを見た業界人がいたら、今すぐ映画化しなさい。
売り上げはプリンセスが保障するわよ!!(笑)


まぁ、そんな話は良いとして、
とにもかくにも何かのきっかけでこの本を見かける機会があった方は、
ぜひぜひちょっとでも良いから読んでみてください。

ちょっとのつもりが必ず最後まで読んでしまうだけの
面白さを持ってることを保障します♪


国民クイズ制度があったら
「アニー町田店をいますぐ開店すること」で出場するのになぁ。
っていう。

そんな話。