私の新人時代~大阪編~(16)

ポコの店長があんちゃんに変わる少し前。2学期が始まった予備校の仕事で、私はひとつ大きな悩みを抱えていた。

それは何かというと、生徒がだんだん授業に出なくなる。そして辞めていく。と、いう課題だった。

アイドル界隈風に言えば「他界」「推し変」なのだが、アイドル界隈は、、他界の手続きが無いのだが、予備校には、他界をするためには手続きの必要があり、それを面と向かって処理することがつらかった。

特に、今までは入会に関する説明を担当していなかったが、今年の生徒の多くは、私自身が説明会を担当し、目標を共有し、一緒に夢を実現しようと約束した生徒ばかりだった。もちろん、私だけに非があるわけではないが、実際にそういう生徒を目の当たりにするのは都度心臓が締め付けられる思いだった。

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どのくらいの生徒が1年間でやめるかというと、浪人生であればおおよそ1割~2割。現役生であれば2割~3割と、いいう割合だった。

大阪では浪人生担当だったのだが、週に2~3回しか来ない現役生と違って、浪人生は、ほぼ毎日来るので、接触率が高い。浪人生が辞めるケースは、こちらの非による原因が大きいのではないかと考えた。

ちなみに、浪人生が予備校に通った場合、どのくらいの割合で成績が伸びると皆さんはイメージしているだろうか?

「成績が伸びる」と、いうのはあいまいな定義なので第一志望校に受かる率でも良いだろう。

これは、年度や場所によって変わるのだが、第一志望校に受かる割合は、全体の2%くらいだと感じている。

第一志望は、自分の能力以上の高望みのケースが多いので、そこからワンランク落とした第2志望の合格率で20%前後になるだろうか?

この率を高いと思うか、低いと思うかはその当事者次第だろうが、大学受験の倍率がおよそ5倍前後ということを考えると、真っ当な数字ではないかと思う。

残りの40%くらいの生徒は、現役時代にはこのランクの大学には行きたくない。と、言っていた滑り止めの大学に進学し、残り30%近くの生徒は、現役時代より下の大学に進学する。(受験すらしないケースもある)

浪人生が共通して考えているのは、「自分に足りないのは時間だけだ」と、思っているが、実は違う。「今」できないやつは、どれだけ時間が経ってもできないのだ。

彼らに足りないのは、時間ではなく、人生に対する考え方や、性格、自分の世界観を変えることなのだ。

授業にさえ出ていれば問題ない。と、考えていた私は考えを改め、今までは優しく・励ますことをメインとしていた対応から、少し厳しい対応をするようになった。