私の新人時代~大阪編2nd~(8)

あんちゃんが店長になって一番大変そうだったのが、今まで主力だった女の子が次々と辞めてしまったことだった。

これは、別にあんちゃんのやり方が悪い。とか、そういう話ではなくて、一般的な飲食店でも、普通の事務会社でも、トップが変わればその方針や環境になじめずにやめていくものである。正社員でもそうなのだからアルバイトだったらなおさらだ。

人間は、思った以上に「変化」に弱い。新しいものを簡単に受け入れることができないのである。

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店舗を運営する場合に、何が一番肝心かというと、「自分の方針」を理解してくれて、常に「自分の味方」でいてくれる「信頼」できるスタッフをそばにどれだけおいておけるかがポイントになる。

よく、芸能人やトップアスリートの人が、怪しいマッサージ師や占い師に騙される?という事件が起きるが、個人的には気持ちはよくわかる。

店舗のトップとして、色々な判断を下していると、自分がみんなに嫌われていたり、疎外されているんじゃないか?と、疑心暗鬼になってしまうものだ。

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あんちゃんが最もツキが無かったのがこの点だった。辞めてしまった女の子の「人数分」は確かに採用をすることができたが、厳しい視点で言えば、そのレベルは、過去と比べては、やはり厳しいと言わざるを得ない一面があった。

メイド喫茶の店長に求められる能力として、いくつか複数の力が求められるが、昨今特に重要になってきている能力が、「優秀な女の子」を採用してくる人柄と人脈。が、大きいと考えられる。

そういう点では、アイドルミーツのしょこらさんや、メイリーフのちはやちゃんなどは、秀逸であった。良いか悪いかは別であるが、他の店舗の女の子と多くつながりを持ち、タイミング次第でいつでも転生(転職)させる信頼関係を地道に作るという営業力はたくましい。

あまり認知されていないかもしれないが、これは素晴らしい才能である。

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そんなメイリーフもつい先日ランチの営業を中止するという情報が流れてきた。

後の名古屋での思い出として記載するが、メイリーフは、大須という非常に恵まれた立地で営業をしており、決して売り上げが悪いわけではないと思う。

単純に、「安定した営業をするための人材」を確保することができないのだ。これはリーフに限らず全国的な課題であろう。

そもそもメイド喫茶は、2001年から2005年くらいが最もブームの時期であり、長めに見ても2008年くらいまでが、全盛期であった。

その当時に働いていた女の子が18歳~25歳と考えると、2017年の今では、28歳~35歳になってしまっている。(※おそらく今のメイドさんの年齢とかなり一致している)

そしてその年代の女性は、通常であればほとんどが結婚をし、出産をしているので、一般的な概念では採用するのが難しい。

では逆に今の若い世代を採用したらどうだろうか?今の若い女の子は、可愛い子はすでにアイドル系に興味を持ち、メイドには興味が無い。過去には一般時給と比べて高額だった時給も通常の飲食店とそん色が無くなり、わざわざ面倒なオタクの相手を「本職」としてするつもりもない。

そもそも過去と違って正社員になろうと思えばなれるチャンスも多いので、メイドなんて自己承認を満たすためだけの遊び程度しか興味がないのだ。

なんとなくだが、2009年前後からがアイドルブームの発展とともに、コンカフェ界隈のレベルが下がり始めた時期だと感じている。

そんな受難の時代に店長を引き受けたあんちゃんは、時代のせいにすることなく、自分の身を犠牲にしてでも、毎日の運営を続けていく・・・。