私の新人時代~大阪編2nd~(29)

異動が一度決まると、教育業に限らず営業職は、自分の担当の引き継ぎに大忙しとなる。

本来、私が担当をしていた卒業生(浪人生)は、継続をしない分野なので、引継ぎなど必要はないのだが、当時のなんばは、あまりの成長ぶりで人が足らず、卒業生担当のローズがなぜか高校生についても30人前後は担任として担当をしていた。

現役生の担当については、年度をまたぐときの「継続」というのが、最大のミッションとなる。

人事異動の話ではないが、顧客ももちろん、関係性や環境のリセットを常に狙っていて、3月から4月が一番、他界や推し変が多くなる季節となるのだ。

なので、ビジネス的には1月の下旬から2月までに、顧客との関係性のまき直しを目指す。

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このように書くと簡単そうに見えるのだが、実際は地獄の始まりである。

なぜなら、卒業生対応として、朝から出勤しているのに、高校生と実際に面談をできるのは、20:00から21:00となるからだ。

普通なら17:00には帰宅できるのに、20:00までもの間、いったい何をすればいいのだろうか?

答えは簡単。職場からもっとも近いメイド喫茶萌えしゃんどんにおかえりすれば良いのだ。

実際は、継続面談のための事前準備などもあるので、おかえりできてもせいぜい1時間程度だったが、こういう感じでスキマ時間を調整できたのは、とても有り難いことだったと実感する。

多くの人は、コンカフェを出勤前か出勤後にしか利用しないと思うが、仕事の合間の気分転換にも、コンカフェは非常に効果的なのだ。

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自分自身が大阪での卒業が決まっている。と、目標?が明確になっているのも、また通っていてわりと気分よく通えていた。

おかしな話だが、日常的にだらだらとお店に通っていると、いつしか、このお帰りはいつまで続くのだろう?何を得られるのだろう?果たしてゴールとは・・・。と、いう気持ちになってしまうのだが、いつまでしか通えないから、今を精一杯楽しもう。と、思えると、さわやか?な気持ちでおかえりすることができる。

恋人と別れを切り出すときに、別れを言われるほうか、自分から言う方か。などという、ありがちな恋愛テーマがあるが、私は断然自分から言いだすほうだ。

基本的に主導権は、自分がグリップしていたい。それがどういう結末になるとしろ、結果は自分の意思でみたいのだ。

そして、それをなぜか地で行っていたのがローズである。普通は、いつ推しが卒業するか?という発表におびえて受け身ばかりのコンカフェ界隈だが、顧客からお店に卒業を言い渡す。と、いう逆宣言を何度も経験しているご主人様も珍しいだろう。

「他界詐欺」という言葉があるが、個人的には、こうしたことをしてしまう人の気持ちはわかる。

なぜなら、自分が卒業する。と、いう発言をしたときこそが、唯一自分の本当の評価を得られる時だからである。

しかし、この行為は基本的には得はない。なぜなら、、おおよその顧客は「本当に好かれている」なんてことはないので、そんなことを知ってしまったらその現場には通いづらくなるだけだし、もしも気遣って引き止めや上辺の行為を示してくれても、「こいつ面倒な奴」と女の子側の評価が下がるだけだからである。

お金を払って、お客様としてのちやほや行為を受けている以上、そこに「本当に好かれているかどうか」なんて考えなくてもいいじゃない。と、いうのが賢く人生を生きるコツなのだろうが、人間はそんなに賢くはないようなので、自ら修羅の道を突き進む。

私の場合は、本当に卒業をしなくてはいけないのであったが、果たしてローズの大阪での評価はどうだったのであろうか?