私の主任時代~名古屋編~(7)

繁忙期の楽しみといえば、いや、繁忙期に限らず地方へ転勤となった人間の楽しみといえば、外食だった。

私が社会人になってから、一人暮らしの際には、外食率がほぼ99%となるのだが、名古屋での食事で一番の思い出といえば、満珍軒のたまごとじラーメンだろう。

今となっては秘密の県民ショーで紹介されたためか、大混雑でなかなか入れなくなってしまったのだが、東京にも博多にも札幌にもない、名古屋だけのオンリーワンの味がそこにはあった。

仕事後の食事となると、ほぼほぼ24時を回っているので、おのずと食事ができる店は、居酒屋かラーメン屋か中華屋となる。

そんな中で満珍軒は、ラーメンだけでなく安価で長居できる中華料理屋としても機能しており、かつ自分の住まいのすぐ近くだったので、ひとりでも、後輩を誘ってもヘビーローテーションをしていたお店だった。

他にも名古屋ならではといえば、チェーン店になるが、「あみやき亭」という焼肉屋にも頻繁に通っていた。どれだけ注文しても3000円もあれば正直おなかがいっぱいになる。大食漢の私でそうなのだから、普通の女性であれば、2000円も出せば十分だ。肉といえば大阪のイメージが世間ではあるかもしれないが、名古屋もどうしてなかなか価格に見合った肉を出す県であった。

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繁忙期中にはあまり行けなかったが、その後は昼食として、名古屋駅地下の「エスカ」という飲食街で名古屋メシを楽しんだ。

エスカの飲食店はおそらく50店近くあり、そのすべてをほぼ制覇しているが、駅地下の飲食街としては、クオリティが高いお店がそろっておりオススメである。

しかし、あえて欠点を上げるなら、名古屋メシは、価格が高い。

味噌カツで有名な矢場とんも、普通に食べたら2000円近くするし、味噌煮込みうどんも名古屋コーチン入りにすると、2000円くらいの価格になる。ひつまぶしに至っては3000円近くになるだろう。

もちろん(味は濃いのを除いたら)料理としては、相当美味しいのであるが、観光などで訪れた人でない限り、名古屋メシを日常のごはんにするのは難しい。あえて言えば、安価で食べれるきしめんくらいだろうか?新幹線口のきしめん屋が美味しいのは有名だが、街中に行けばもっと美味しいお店が点在している。(※唯一不満なのが、富士そばみたいに深夜も食べれるお店が無いところ)

名古屋駅西口のエスカは、庶民的・THE定番といった感じの飲食街だが、反対側のミッドランドスクエアまで足を延ばすと、オシャレなお店も増えてくる。

今となっては、笑い話だが、当時はあまり知識が無かったので、ふらっと入ったお店でチョコレートパフェを頼んだら、1650円くらいして、ずいぶんたけーなー。なんて、思っていたのだが、今思い返したら、ピエールマルコリーニという、有名なチョコレートショップのカフェだった。

仕事をまったくせず、35歳になってしまったために、もはやNEETという肩書すら失った今、貧困にあえぎながらあのころを思い返せば、なかなか異常な生活だったなー。と、思う。

大阪と違って、給料もだいぶ入って余裕が出てきたので、昼に気まぐれで名古屋メシを食べ、パフェを喰らい、夜は後輩を連れて飲み歩き、もちろん後輩に金を出させるわけにはいかないので、自分が金を多めに出す。エンゲル係数が高すぎる。

しかし、お金に余裕があるのであれば、食べ物には、お金をかけるべきであり、それは外食の方が効率が良いだろう。

よく外食ばかりして体に悪いよ。と、言われるが、下手にスーパーの粗悪な食材を食べるよりは、きちんとした食材を使ったお店での外食のほうがよほど健康にいいはずだ。外食=健康に悪い。と、いう固定概念の方が危険である。

結局自分の肉体を維持しているのは、摂取している食物で構成されているので、食事は何より大切にするべきだろう。良いものを食べるとやはり体調がよくなるし、精神面でも安定をする。そういう意味では、高いお金を支払うのに、健康を維持してくれないどころか、時間とカネまで奪うコンカフェやアイドルが自作の料理を強要するのは愛が無いと思う。昨今の加速する手料理ブームに辟易しているのは私だけなのだろうか?やるならしっかりとファンをいたわってほしいものだが・・・。

こうして、多忙な時期も、高価な食物のエネルギーと、金で世間をひっぱたいてストレス発散するという荒業によってセルフコントロールをしたローズは、最後の追い込みの4月を乗り切ろうと向かっていく。